- コラム
新島のGooglemapを見ると「シークレット入口」という表記があるのをご存じでしょうか。
観光案内窓口には、謎の「シークレット」についての質問がときどきあります。
<お問合せ パターン1>
「シークレットって何がシークレット?、どんな秘密の場所なの?秘境的な場所なの?」
という方。
<お問合せ パターン2>
少し新島を知っていてくださって「シークレットってここ(下の写真)の辺りでしょ?
シークレットポイントという看板を辿ると付くと説明されて、行ったことがあるよ!
でもなんでシークレットなの?🤔」という方もいらしゃいます。


この両方の話、どちらも正式には違うんです!
ということで、新島生まれ・新島育ちのわたしの上司・富田係長に詳しく話を聞きに行きました。

牧野:富田さん、先ほどの2枚の写真はシークレットでなければなんて呼ぶのが正しいんですか?

富田:この場所は「堀切」と言われる場所です。
1枚目の堀切の階段を下ると、2枚目の写真の景色に出会えますよ。
ちなみに堀切階段の両サイドにあるのは新島の方言で「ママ」と言い、この場所から南へ行くと、「白ママ」と言われる場所があります。

牧野:「堀切階段」と、「白ママ」!?💦
まず用語の解説をお願いします!

富田:「白ママ(しろまま)」の”ママ”は、新島村の方言で「崖」を意味します。
「白ママ」は言葉のとおり、白いママ(白い崖)を意味して、新島の南に位置する高さが約250mほどある白い断層崖を指します。
「堀切(ほりきり)」は、地層や岩盤が地殻変動によって、ずれや割れ目が生じた際に形成される、崖や段差・溝などを指す言葉として使われています。
新島ではそれが転用して、その地区一帯を指す名称として「堀切にある階段=堀切階段」と呼ばれています。


牧野:なるほど!よく見る絶景の場所の写真は、この堀切にある階段、
「堀切階段」付近の写真だったんですね!
メインテーマに戻りますが、この場所は秘境っぽいから
「シークレット」と呼ばれるようになったんですか?

富田:「シークレット」という名前と、秘境っぽいという事は関係ないのです。
実は、堀切階段を下りてから少し離れた場所にサーフィンのポイントがあるのですが、そのポイントの名前が「シークレット」といいます。

「シークレット」と呼ばれている理由を辿ると、昭和の離島ブーム最盛期の新島は観光客のかたが多く、羽伏浦などのポイントはすごく混雑してたため、地元のサーファーは白ママの奥の秘密のサーフポイントで混雑を避けてサーフィンを楽しんでいました。
観光で来た人には分からない地元サーファーしか知らないポイントという事で、「シークレット」と呼ばれるようになりました。
しかし、2003年に開催された世界大会で使用されたことによって、今では世界1有名なシークレットポイントとして知られています(笑)。


牧野:島の人が大切に守ってきたローカルサーファーのポイントを、シークレットポイントと呼ぶのが正しいんですね!
サーファーの方にとっては、堀切階段=シークレットポイント入口 ってことだから、
呼び名が定着して使われるようになったんですね。
お話を聞いてすっきりしましたが、
初見だと堀切階段の下がシークレットだと思ってしまいますよ!

富田:そうですね、初めて来た方や詳しく知らない方はそう思ってしまいますよね。
最初は来島されたサーファーのかた向けに、シークレットポイントへの入り口として看板を設置したのだと思います。
最近ではスマホが普及したことで地図アプリなどにも表示されるようになり、
サーファー以外のかたにも存在が知られるようになったことで、
勘違いされるかたが増えたのだと思います。
ただ、「堀切階段」と表示を直しても、逆に分かりづらくなると思うのでそのままにしています。


牧野:「シークレット」という名前が広まった今、そのほうが目を引きますもんね。
シークレットポイントでサーフィンをしているみなさんを見学をしたいです。
サーフィンできなくても行ってみてもいいですか?

富田:ごめんなさい。
今はシークレットポイントまで、歩いていくことはできないんです。
最近は地形が変わり、砂浜が狭くなってきてしまって、土砂崩れも多発しており
歩いて行くくことが禁止されています。
ただしサーフィンのボードに乗って、海をパドリングしていくことはOKとされています。
ちなみに、シークレットポイントまでは、駐車場から階段を降り、
砂浜を歩き+パドリングで片道30~40分くらいかけて向かいます(笑)

牧野:片道30分!!!?行って帰るだけ往復で1時間以上も掛かるのですね…。
…富田さん、クルージング船から白ママに見行きませんか?
富田さんのポケットマネーで!(笑)


富田:検討しておきます…!

牧野:お役所的な回答だ~💦